中国電力島根原発(松江市鹿島町片句)の事故を想定した緊急退避訓練が19日、原発から5キロ圏(PAZ)内の松江市内の幼稚園、小中学校を対象にあった。5校2園の園児・児童・生徒や保護者、教職員ら約1千人が参加し、保護者への引き渡しや集団退避の手順などを確認した。
松江市の原子力防災訓練の一環。2014年度から3年ごと(前回は21年度)にPAZ内を対象に実施しており、今回で4回目。この日は、島根原発で重大事故につながるような事象が発生したという想定で、午後1時に教職員が保護者にメールで園や学校での引き渡しを連絡。保護者が順次迎えに来た。
午後2時には、原子炉の損傷に至る可能性がある事態に発展したとして、園や学校に残る220人の子どもを12台のバスで緊急退避所の松江市総合体育館へ移送。迎えに来た保護者らに引き渡した。
同体育館で、上定昭仁市長は保護者らを前に「こうした訓練は定期的に実施する必要がある」とし、「今後も原子力防災の観点から取り組んでいくのでご協力を」と呼びかけた。
小学5年生の男子児童を迎えに来た母親は取材に「いざという時のために勉強になった」。ただ、「原発からすごく近い距離に家がある」といい、能登半島地震のような道路の寸断などが発生した場合は「とても心配」と不安も吐露していた。
県によると、PAZ内の人口は昨年12月1日時点で8697人。【朝日新聞】