東京電力福島第1原発事故を巡る株主代表訴訟の控訴審第3回口頭弁論が28日、東京高裁であり、木納敏和裁判長は株主側が求めていた原発敷地内の視察をし、年内に結審する意向を明らかにした。株主側によると、10月ごろ視察し、11月27日に口頭弁論を開き結審する案が示されたという。
木納裁判長は法廷で現地視察の理由を「(株主側と旧経営陣側の)それぞれの証拠関係を理解するため」と説明した。視察する場所は今後決めるとした。
◆東京電力側は視察に反対
株主側によると、口頭弁論後にあった非公開の進行協議で、東電側は一審で実施済みであることなどから視察に反対した。しかし、木納裁判長は昨年12月、同原発のある福島県大熊町をプライベートで訪れたことを明かし「現地を見るのは有意義」とも述べ、意向を変えなかったという。
一審では、審理を担当した東京地裁の朝倉佳秀裁判長と丹下将克裁判官らが2021年10月に原発敷地内を視察。22年7月の判決で、津波対策を怠り東電に損害を与えたとして勝俣恒久元会長(83)ら旧経営陣4人に計13兆3210億円の支払いを命じた。
控訴審で、株主側は改めて勝俣氏らに賠償責任があると主張。旧経営陣側は「想定を超える地震で事故は防げなかった」などとして一審判決の取り消しを求めている。
【東京新聞】