中国電力が山口県上関町で計画している使用済み核燃料の中間貯蔵施設について、地元住民でつくる「原発に反対する上関町民の会」など4団体のメンバーが7日、広島市の中電本社を訪れ、建設中止を求める27万5043筆の署名を提出した。上関原発の建設計画の中止も申し入れた。
「町民の会」のほか、「上関の自然を守る会」「原発いらん!山口ネットワーク」「原水爆禁止山口県民会議」の代表メンバー計9人が参加した。中電側は地域共創本部の幹部らが対応した。
「中間貯蔵施設の建設中止を強く求める」趣旨の署名を、各団体が協力して昨年9月から今年1月末にかけて集めた。インターネットも活用して、県内外に呼び掛けたという。
住民団体のメンバーはこの日、段ボール箱に詰め込んだ署名を中電本社に運び入れ、中間貯蔵施設と上関原発の建設計画の「白紙撤回」を申し入れた。中電側はこれに対して「中間貯蔵施設は今後の調査の結果を踏まえて具体的な計画を策定するが、基本的には上関原発の計画と並行して進められるものと考えている。建設計画の撤回は考えていない」と述べた。
その後、団体のメンバーと中電側の担当者のやり取りは1時間ほど続いた。「町民の会」の三家本誠さん(75)は、昨年12月に山口県の村岡嗣政知事が原発と中間貯蔵施設が上関町内に併存するのは「大きな負担」と述べたことについてただしたが、中電側は「発言は承知している。具体的な計画を提示することになれば当社の考えをお示ししたい」と述べるにとどめた。
中電は、建設予定地でのボーリング調査に先立って1月から森林の伐採を始めた。上関原発建設に向けた調査で中電が「ボーリング調査で出た泥水は循環させ、外部に出さない」と説明しながら、現場で流れ出ていた事例があったとして、団体側は「ネット上で作業の様子(の映像)を公開したらどうか」と迫ったが、中電側は応じなかった。
「自然を守る会」共同代表の山本尚佳さん(70)は、上関の海で見られる絶滅危惧種のカンムリウミスズメの生息調査に取り組んでおり、昨年、中電の調査の6倍にあたる個体数を確認したとして、「中電の調査は精度が低すぎる」と指摘した。
三家本さんは「県外からもたくさん署名に参加してくれた。使用済み核燃料を、危険を冒してわざわざ上関に持って来なくても、と多くの人が思っている。中電は27万5043筆という署名の重みを受け止めてほしい」と話した。【朝日新聞】