関西電力は8日、使用済み核燃料を原発の敷地内に保管する乾式貯蔵施設について、高浜・大飯・美浜の原発の敷地内に設置する方針を県に伝えました。(2月8日)
関西電力の高畠勇人原子力事業本部長代理が県の坂本防災安全部長と面談し説明したもので、計画では高浜の2か所で350トン、大飯の2か所250トン、美浜で100トンの合わせて700トン分を貯蔵するとしています。高浜・大飯・美浜に関して安全協定に基づく県への事前了解願を提出し、設置変更許可ついては高浜の安全審査での議論を反映したうえで残りを申請するとしています。
原発で使われた使用済み核燃料は、燃料プールで冷却しながら保管するのが一般的ですが、乾式貯蔵は使用済み核燃料を金属製の専用容器に入れ、空気による冷却で保管する方法です。茨城県の東海第二原発で導入されていて、鉄筋コンクリートの建物内には全長5.7メートルの筒状の容器を縦置きにして並べられています。
一方関西電力が採用する格納方式は、使用済み核燃料を入れた専用の容器を横向きの状態で台座に載せて屋外に並べ、専用容器ごと個別で遮蔽用の鉄筋コンクリートを取り付け周りはフェンスで囲います。施設には燃料プールで15年以上冷やした燃料を収納する予定で、地震や竜巻による飛来物の衝突などにも耐えられる頑丈なつくりだということです。設置は先行して進める高浜の1か所目で2027年ごろを目指し、2030年には全ての原発に設置する計画です。
関電が去年10月に示した使用済み核燃料の県外搬出の計画で、乾式貯蔵施設の位置づけは、2030年ごろに県外で操業開始を目指す中間貯蔵施設へのスムーズな搬出のための「準備施設」とされています。しかしこれまでも約束を反故にしてきた関西電力に報道陣からも一時的な保管に留まるのかとの質問が相次ぎました。
これに対して関西電力の高畠勇人原子力事業本部長代理は「置けるようになったからずっと置いておくことは一切考えていない」と強調し「2030年頃の操業開始を目指している中間貯蔵施設ができたら、速やかにできるだけ早期に搬出したい。ただ中間貯蔵施設の操業状態などその時の周辺状況にもよるので、一概に保管期限を何年と申し上げることはできない」と期限の明言は避けました。
県内の貯蔵容量が増える可能性のある原発敷地内での保管を認めれば、一貫して県外搬出を求め続けてきた県の原子力行政の大きな転換点となる問題だけに、今月13日に開会する県議会では慎重な議論が求められます。【福井放送】