東京電力福島第一原子力発電所事故の発生から13年となるのを前に、読売新聞の取材班が2日、同原発構内に入った。事故の痕跡が直接見られる場所は少なくなりつつある一方、核燃料デブリの取り出しに向けた準備作業は難航し、2041~51年とする廃炉完了までの道のりは険しい。
水素爆発で骨組みが露出した1号機では、屋上に残るがれきを撤去する際に放射性物質を含むダストが外に飛ばないよう、建屋全体を覆う大型カバーの設置作業が進んでいた。来年夏頃の完了を目指す。
同じく水素爆発が起きた3、4号機の建屋は、すでにカバーなどで覆われている。東電の広報担当者は「今年中には、事故の痕跡が外から見えなくなるかもしれない」と話す。
一方、爆発を免れた2号機では、原子炉格納容器内のデブリ数グラムを試験的に採取する作業が今年度に計画されていた。「廃炉の本丸」とされるデブリの取り出しの方法などを判断するための重要な作業だったが、 堆積たいせき 物の除去などに時間を要し、東電は10月頃までの延期を決めた。延期は3回目となる。
原子炉建屋内は放射線量が高く、内部への立ち入りは許されなかった。廃炉完了までのスケジュールは見通せない状態が続く。【読売新聞】