10日の原子力規制委員会の会合では、地震の揺れについての解析結果も報告され、それによりますと、志賀原子力発電所の基礎部分では、一部の周期で従来の想定を上回っていたということです。
地震の揺れは、周期の長さによって影響する機器や設備が異なることから、原発の審査では、揺れの周期ごとに最大の値を想定することが求められています。
志賀原発は、東京電力福島第一原発の事故の後に作られた規制基準に基づく想定は決まっていませんが、10日の会合では、原発事故前の想定と比較した解析結果が報告されました。
それによりますと、基礎部分での揺れが想定を上回ったのは、1号機、2号機とも東西方向の0.47秒の周期で、揺れを大きさを示す加速度は、1号機が918ガルの想定に対し957ガル、2号機は846ガルの想定に対し871ガルでした。
0.47秒という周期は、原発の安全上重要な機器や設備が揺れやすい周期ではないということで、安全性への影響はないとみられるということです。
また、津波の高さの分析結果も報告され、最大約3メートルの高さの津波が到達し、引き波についてもマイナス1メートルに達したと報告されました。
北陸電力によりますと、志賀原発では海抜11メートルの敷地に、高さ4メートルの防潮堤が設置されているほか、取水口はマイナス6.5メートルに設置されていることから、今回の津波による安全性への影響はないとしています。
石川県志賀町にある北陸電力の志賀原子力発電所で、1月1日の地震発生後、約1メートルから3メートルの津波が、複数回到達していたことがわかったことを受けて、地元住民からは、不安だという声に加えて、北陸電力に少しでも早く情報を発信するよう求める声が聞かれました。
このうち、志賀町に住む70代の女性は「津波があったとニュースであとから聞いて怖かったです。津波が1番怖いので、やっぱり情報はすぐ知りたいです」と話していました。
また、別の70代の女性は「原発に津波が到達したとテレビで見て、情報が届くのが遅いと感じました。津波が来たら怖いと思っているので、早く知りたいです」と話し、北陸電力に少しでも早く情報を発信するよう求めていました。
また、志賀町出身で、福井県に住む50代の男性は「両親が高齢で、原発についての情報があまり入ってこないので、心配な面はあります。情報をうまく発信してもらえれば対応することができるので、情報を隠さずに素早く、もうちょっと上手に出して欲しいです」と話していました。
原子力規制庁によりますと、1月1日の地震で震度7の揺れを観測した石川県志賀町にある志賀原子力発電所で、10日、排水溝の出口付近の海面に油膜が浮かんでいるとの報告が北陸電力からあったということです。
志賀原発付近の海面では、1月7日にも少量の油が流出していることが確認されていますが、北陸電力によりますと、油に放射性物質は含まれていないということです。
志賀原発では、1月1日の地震により外部から電気を受けるための変圧器の配管が壊れて絶縁や冷却のための油があわせて2万3000リットル余り漏れ出し、1月7日には、排水溝の出口付近の海面で、縦5メートル、横10メートルほどの範囲に流出したとみられる油の膜が見つかっていました。
原子力規制庁によりますと、10日午後、北陸電力から、7日に油が見つかった場所の近くの海面に、縦30メートル、横100メートルほどの油膜が見つかったという報告があったということです。
北陸電力によりますと流出した油に放射性物質は含まれていないため、外部への放射能の影響はないとしています。【NHK】