原子力規制委員会と内閣府などでつくる国の緊急時対応センターは午後6時半から記者会見を開き、石川県の志賀原子力発電所では、外部から電気を受ける系統が1系統使えなくなっているものの安全上重要な機器の電源は確保されていて、使用済み燃料プールの冷却もできていると発表しました。
国の緊急時対応センターによりますと、震度7の揺れを観測した石川県志賀町にある北陸電力の志賀原発では、地震が発生した際、外部から電気を受けるための変圧器付近で「爆発したような音と焦げ臭いにおいがあった」という情報があり、発電所員が確認したところ午後5時半時点では火は確認されなかったということです。
変圧器付近では油漏れが確認されたということです。
また、午後5時半時点で外部から電気を受けるための1系統が使えなくなっているということです。
外部から電気を受ける系統は少なくとも2つあり、このうち使えなくなっているのは50万ボルトの1系統で、もう1系統の27万5千ボルトの系統で必要な電源は確保できているということです。
また、1号機の核燃料を貯蔵するプールで一部の水が地震の揺れで床面にこぼれ、冷却水を供給するポンプが一時的に停止しましたが、午後4時49分に復旧していて、午後5時半時点では、1号機、2号機とも燃料プールの冷却は継続されているということです。
このほか、志賀原発の周辺では、原発の北側の地域の半径15キロから30キロの範囲で、石川県が設置しているモニタリングポスト13台の情報が得られなくなっているということです。
ただ、原発の敷地内やその周辺にあるモニタリングポストでは異常な値は確認されておらず、現時点で環境への影響はなく監視態勢についても問題はないとしています。
国の緊急時対応センターの関雅之広報官は「まだ地震が続いている状況で情報の収集に全力を挙げる。現時点においては、安全上重要な機器の電源の確保とまた使用済み燃料の冷却は行われているので、特段、避難行動を取るといった必要性はないと考えている。住民においては、まずは地震に対して身の安全の確保をお願いしたい」と話しています。
地震の発生から一夜が明け、石川県では午前5時の時点で6人の死亡したほか、多数の建物の倒壊が確認されるなど被害の状況が明らかになってきています。
【輪島市の被害】
輪島消防署によりますと「輪島市内の河井町にある輪島塗の老舗の会社のビルが倒壊して隣の建物を押しつぶし、そこにいた2人が逃げ遅れて取り残されている」という通報があったということです。
このほかに「家屋が倒壊した」という通報も50件以上寄せられ、輪島消防署は現場の確認や救助活動を進めています。
【6人が死亡】
石川県警察本部によりますと今回の地震による死者は2日午前5時の時点で七尾市では50代の男性と女性、それに20代の女性の3人と、輪島市で10代の男性1人、羽咋市で70代の男性1人、志賀町で90代の男性1人のあわせて6人にのぼったということです。
震度6強の揺れを観測した七尾市にある公立能登総合病院の災害対策本部によりますと、1日午後8時現在で33人が搬送されたということです。
このうち、七尾市の50代の女性の死亡が確認されたほか、重傷が2人、軽傷は30人だということです。
病院では地震のあと断水が続いていて、手術や透析ができなくなっていて、病院は県に給水車の支援を依頼し、2日中に到着する見込みとなっています。
【輪島市の火災】
火災の情報も入っています。
震度6強の揺れを観測した輪島市では中心部にある河井町で火災が発生し、現在も消火活動が続いています。
消防によりますとこれまでに、観光名所として知られる輪島市の「朝市通り」周辺で店舗や民家など100棟以上が延焼したとみられています。
【能登島孤立】
また、七尾湾に浮かぶ七尾市・能登島にある「能登島地区コミュニティセンター」では午前5時の時点で市民など約160人から200人が避難しているということです。
七尾市によりますと、能登半島と能登島を結ぶ「能登島大橋」と「ツインブリッジのと」の2本ある橋は、いずれも道路部分が隆起していることなどから通行止めとなっているということです。
このため、能登島には支援物資を届けることができず、島内では水や食料、毛布などが不足している状態だということです。【NHK】