経済合理性の観点から原発政策を学ぶ講演会「今こそ知りたい エネルギー・温暖化政策」が15日、金沢市鞍月の県地場産業振興センターであった。東北大の明日香寿川(あすかじゅせん)教授(環境エネルギー政策)が講演し、「原発は気候変動対策としても経済対策としてもデメリットしかなく、逆に邪魔する存在」と指摘した。 (奥田哲平)
明日香教授は国際エネルギー機関(IEA)などの報告書を引用しながら、太陽光などの再生可能エネルギーと原発の発電コストを比較。原発運転延長は、同じ資金を再エネ新設に投資した場合に比べて温暖効果ガス排出削減量が6分の1となるとして「原発の代替案の方が電気代が低下し、電力不足にもならない。逆に雇用は増加する。精神論ではなく、ビジネスの問題として再エネの方が利点がある」と説明した。
岸田政権が進める原発推進の動きについても「東日本大震災前に回帰してしまった」と批判。原発利権や火力発電維持、核兵器転用技術の可能性を維持する狙いがあるとし、「結局、脱炭素は技術的、経済的な問題ではなく政治の問題。電力システムの構造全体を変えないといけない」と語った。
講演会は県保険医協会が2011年から続ける「原発・いのち・みらいシリーズ」の一環で、約30人が参加した。【中日新聞】