中国外務省は21日、馬朝旭(ば・ちょうきょく)外務次官が国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長と20日に米ニューヨークで会談したと発表した。馬氏は、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出に関し、IAEAに「客観、公正、科学的な態度を堅持し、自らの責任に従って対処すべきだ」と求めた。
馬氏は、日本政府が「中国を含む隣国や日本の民衆の反対の声を無視」して海洋放出を進めたと非難し、日本に対する「断固とした反対」を改めて表明。IAEAに対し「中国を含む国際社会の正当で合理的な懸念に実際の行動で応えるべきだ」と要求した。
中国側の発表によると、グロッシ氏は「IAEAは中国の関連する立場と懸念を高度に重視している」と表明。その上で、IAEAとして「中立、客観的な立場」から処理水の対応に関わり、「中国側と密接な意思疎通と協力を維持する」との考えを示したという。
中国は、処理水を「核汚染水」と呼んで海洋放出に反発し続けている。IAEAが7月に公表した処理水の海洋放出計画を「国際基準に合致する」とした包括報告書についても、中国外務省は報道官談話で「遺憾」を表明。報告書は全ての専門家の意見が反映できていないと主張している。
【産経新聞】