青木理氏 処理水放出に「30年では終わらない」「チェルノブイリのように石棺になりかねない」
2023年8月25日 19:05
処理水放出を行っている東京電力
処理水放出を行っている東京電力
ジャーナリストの青木理氏が25日、文化放送「大竹まことゴールデンラジオ!」に出演。東京電力福島第1原発処理水の海洋放出についてコメントした。
処理水は今年度に貯蔵量の約2%にあたる約3万1200トンを4回に分けて放出する予定で、放出期間は30年程度に及ぶ見通し。西村康稔経済産業相は放出を開始したことを受けて「福島第1原発の廃炉に向けた大きな一歩を踏み出した」と改めて理解を求めている。
これに青木氏は「誤解されることを恐れずに言えば、果たして本当にそうなんだろうか?」と指摘。「いわゆる汚染水を処理をした処理水、これ今溜まってるのを出すだけで30年かかるって言うですけれども、多分ですよ、30年では終わらない」と分析した。
青木氏は処理水は原子炉の底にたまっている残量燃料「デブリ」を冷やすためにできているとした上で「つまりデブリを完全に取り出して廃炉が終わらない限り、この汚染水は止まらないわけですよ」ときっぱり。
続けて「で、このデブリっていうのは果たして取り出せるんですか? 取り出せるとして、いつまでなんですか? 現状12年たってもこの880トンにおよぶと言われてるデブリが全体状況がどんなになってるかも、精緻にはよく分からない。今年の後半に試しで数グラム取れるんじゃないかというふうに言ってるんだけれども、逆に言えば12年たっても1グラムも取れていない」と訴えた。
さらに「もしかしたら取れないんじゃないか?ってことも十分考えられる。これは本当に注意して言わなければいけないんですけれども、場合によってはチェルノブイリのように石棺みたいなことになりかねないわけです。そうすると、この汚染水っていうのは、もしかしたら半永久的に出続ける」と私見を述べた。
その上で「福島第1原発の事故いうものがわれわれにもたらした、特に福島の人たちにもたらした惨禍の大きさというかね、事態の大きさというかね。あまりに深くて、巨大な甚大な傷跡っていうものに僕はもう一回、足がすくむっていうか、目がくらむっていうかね、本当に深刻な思いになる。やっぱりこの原発と、それから原発の被害を直接受けている漁業者、農業者、地元の人たちと、本当に真剣に向き合い続けなくちゃいけないっていう風に改めて思います」と沈痛な面持ちを浮かべた。
【東京スポーツ】