福島第一原発の処理水について、東京電力は24日午後、海への放出を始めました。放出をめぐる政府の一連の対応について専門家は、「国民への情報発信が不十分で強行的に決まってしまった」と指摘しています。
福島大学・小山良太教授「あきらめムードを作り、強行的に決まってしまった。禍根を残しかねない決め方になった」
こう話すのは、処理水の処分方法を検討する政府小委員会の委員を務めた、福島大学の小山良太教授です。処理水の処分をめぐり、これまで政府と東京電力は「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」としていましたが、小山さんは、一番の関係者である国民への情報発信が不十分だったと指摘します。
小山教授「廃炉の過程はみんなの協力が必要。地元も含めて国民全体のその協力が得られない形になってしまうのであれば、30年、40年続く福島の「復興」と「廃炉」両方に向けてすごく問題を残してしまう」
小山良太教授
漁業者が懸念する風評対策については、流通業者の信頼を深めることが大切と話します。
小山教授「福島で獲れた魚の流通網を途絶えさえないことが重要。原発事故の県産農産物を見ても、一度失った棚を取り戻すのは大変。信頼をしっかり構築できれば徐々に流通は広がり、安全性への認識が高まる」
また、小山さんは復興と廃炉の両立に向け、今後の政府の姿勢に注目しています。
小山教授「次はあきらめさせる施策ではなく、もっと早い段階から協力を仰いで一緒に廃炉を進めていく形をもう一度考えてほしいと思う」
【テレビU福島】