関西電力の榊原定征会長は28日、関電本店(大阪市北区)でメディアとの懇談会という形で取材に応じた。同社でカルテルや不正閲覧などの不祥事が相次いで発覚して以降、こうした取材の場に榊原氏が姿を現すのは初めて。不正が相次いだことについて謝罪したうえで、「(電力の)自由化・競争への感度が十分でなかった」と話した。
元経団連会長の榊原氏は、2020年に関電の会長に招かれた。元役員らが福井県高浜町元助役から金品を受け取っていた問題を受け、ガバナンスの強化に向けて関電の執行部を監督する立場となった。だが、関電が中心になって大手電力会社同士でカルテルを結んでいたり、送配電子会社のもつ新電力の顧客情報を不正に閲覧したりしていたことが、次々と発覚した。
就任後も不正閲覧が続いていた原因について、榊原氏はトップダウンの文化があるとし、「自由闊達(かったつ)な文化、おかしいことはすぐ指摘できる文化をつくりあげていきたい」。自身の進退について問われると、「関電の仕事は最も重要だと思っている。一連のこと(不祥事)をもって辞めたいと思ったことはない」と話した。【朝日新聞】