政府が夏ごろの開始をめざす東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出を巡り、原子力規制委員会は28日、放出設備の使用前検査を始めた。30日までの予定で放出前の最終確認をする。合格すると設備面の準備が整う。
規制委は28日午前から検査を始めた。処理水と海水を混ぜる希釈設備や緊急時の遮断弁などが問題なく動くかどうかを真水を使って確認する。指摘する点がなければ1週間程度の事務手続きを経て終了証を出す。
東電は27日までに設備の試運転を終えて工事を完了した。国際原子力機関(IAEA)は近く包括的な報告書を公表する。放出に向けた準備は整いつつあるが、風評被害を懸念して地元の漁業者らは反対する。
処理水には放射性物質のトリチウムが含まれる。現在の技術では除去できず、東電は処理水を大量の海水で希釈してトリチウムを国の基準の40分の1未満に薄めて原発の敷地から1キロほど先の沖合で放出する計画だ。
【日本経済新聞】