テロ対策の不備で事実上の運転禁止命令が継続となった東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)について、原子力規制委員会は22日、東電の小早川智明社長と同原発の稲垣武之所長から意見聴取した。命令解除には「自律的な改善」が求められているが、東電は7月中に改善措置の仕組みを整える意向を示した。
一方、規制委は命令解除の是非を再判断する際には、東電が原発を運転する「適格性」についても、改めて確認することを決めた。
22日の臨時会合で、小早川社長は「組織が大きく、縦割りになり、現場とのコミュニケーションが不足していた部分はある」と非を認めた上で、社内外の監視・評価体制を強化し、改善措置を一過性にしない取り組みなど、今後の対応方針について説明した。
規制委は今年5月、追加検査で確認した27項目の改善方針のうち、侵入者を防ぐセキュリティー体制や核物質防護に対する社内意識など4項目について「不十分」と判断し、追加検査の継続を決めた。
東電は同原発6、7号機について早期の再稼働を目指しているが、検査の長期化で時期が見通せない状況が続いている。
柏崎刈羽原発では、令和3年に侵入検知器の故障やIDカードの不正使用などの問題が発覚。規制委は同年4月に運転禁止の行政処分を下し、再稼働の動きが止まった。
規制委は当初、検査にかかる期間として2千時間を目安にしていたが、これまでに3400時間を超えている。【産経新聞】