「福島の事故を忘れないで」と訴える青田恵子さん(左から2人目)=福井県高浜町役場前で、塩田敏夫撮影
全国の市民団体・個人でつくる「老朽原発うごかすな!実行委員会」(事務局、木原壮林京都工芸繊維大名誉教授)は7日、福井県高浜町を訪れ、野瀬豊町長に対し40年超えの関西電力高浜原発1、2号機の再稼働の「同意」を取り消し、「原発に依存しないまちづくり」を進めるよう申し入れた。木原さんは「なんとしても危険な再稼働を止めねばならない。高浜原発を止めないと日本中の老朽原発が動くようになる」と訴えた。
高浜原発から30キロ圏内のUPZ(緊急防護措置区域)には京都府内では7市町(計約10万8600人)が入っている。高浜町に隣接する舞鶴市は全国で唯一都道府県をまたいでPAZ(5キロ圏内で事故時に即時避難となる予防防護区域)を抱えており、実行委員会は近く舞鶴市に対し再稼働に反対するよう申し入れる。
申し入れ書によると、原発の60年超運転を可能にする法律が成立したが、世界には60年を超えて運転した原発はなく、地震、火山噴火、津波が多発する日本で60年超運転は過酷事故を招きかねないと指摘。関電は金品受領など不祥事を相次いで起こしており、「現在の科学技術では制御できない原発をむりやり稼働させようとするからトラブルが頻発し、人々を欺かねばならなくなる」としている。
申し入れには約50人が参加。町内を「再稼働を許すな」などと声を上げながらデモ行進し、原発の危険性を訴えるビラを配った。東京電力福島第1原発事故で福島県南相馬市から大津市に避難している青田恵子さん(73)は「今、福島の事故が忘れ去られたように原発が推進されようとしている。原発はいったん事故が起きると、暮らしを根こそぎ奪ってしまうことを思い起こしてほしい」と語った。【毎日新聞】