ロシア軍が占拠を続けるウクライナのザポリージャ原子力発電所を巡り、IAEA(国際原子力機関)のグロッシ事務局長は重大な事故を防ぐための「5原則」を新たに示しました。
IAEAのグロッシ事務局長は30日、ニューヨークで開かれた国連安全保障理事会の会合に出席し、ウクライナ南部のザポリージャ原発について「極めて脆弱(ぜいじゃく)で危険な状態が続いている。周辺地域での攻撃は近い将来、かなり増加する可能性がある」と指摘しました。
また、ザポリージャ原発では侵攻開始以降、ロシア軍の攻撃などで原子炉と使用済み燃料の冷却に必要な外部電源を失い、非常用のディーゼル発電機で電源を確保したケースがこれまでに7回あったと説明したうえで、「この状況が続けばいつか運も尽きてしまうだろう」と重大事故が起きる可能性に懸念を示しました。
そのうえで、グロッシ事務局長は事故を防ぐために必要な原則として「原発に対する攻撃や原発からの攻撃をしない」「原発を攻撃の拠点や武器の保管庫に使用しない」などを盛り込んだ5原則を提示し、ロシアとウクライナ双方に順守を呼び掛けました。
これに対し、ウクライナのキスリツァ国連大使は「原発からのロシア軍の撤退」などを原則に加えるよう求めました。
一方、ロシアのネベンジャ国連大使は「ウクライナの攻撃から原発を守っているだけだ」と述べ、提示された原則は「ロシアがすでに実施してきた措置と一致している」と主張しました。【テレビ朝日】