東京電力は26日、福島第1原発でたまり続ける処理水を放出する海底トンネルについて、1キロ沖合の終点まで掘削工事が完了したと発表した。工事で使用した重機の撤去や内壁の止水措置を施した後、海水を引き入れる。6月末までに敷地内の放出関連施設も含めた工事全体の完了を目指す。
政府は今夏ごろまでの放出開始を目指しているが、風評被害を懸念する地元漁業者らの反対も根強く、計画通りに進むかどうかは不透明だ。
東電によると、海底トンネルは全長1031メートル。シールドマシン(大型掘削機)を使って掘り進め、25日に目標地点に到達。26日午後に、作業が完了した。今後、トンネル内に残った資機材を引き上げる作業を続ける。
トリチウムなどの放射性物質が含まれる処理水は、国の基準を下回る濃度まで海水で薄めた後、海底トンネルを通して約1キロ先の沖合に放出する計画。現在は敷地内にある1千基余りのタンクで貯蔵しているが、東電によると今秋にも満杯になる見通し。【産経新聞】