原発を運転開始から60年を超えて稼働できるようにする新制度の導入を控え、原子力規制委員会の検討チームは26日、60年以上でも現行の運転延長の審査で課している原発の劣化状況の詳しい点検を、電力会社に求める方針案を決めた。電力会社が必要ないと主張する点検項目については、規制委が妥当と判断すれば、項目を減らせるようにする。
5月上旬の規制委定例会合に提案し、正式決定する見通し。点検項目を減らせる要件などの詳細は、今後検討する。60年超運転を可能にする関連法改正案は同日、衆院経済産業委員会で可決されたが、規制の具体像は不透明なままだ。
現行制度では「原則40年」を超えて最長20年間の運転延長を審査する際、「特別点検」で、通常の点検時には調べない細部の劣化状況も確かめている。
新制度では、運転開始後30年を起点に10年以内ごとに劣化を審査。60年以上の原発の審査では毎回、特別点検と同じ内容の点検を電力会社に求める。ただ、全ての細部を改めて確認する必要があるかは、電力会社が判断できる余地を残した。その場合、特別点検と同様の精度で劣化を評価できているか、証明を求めるという。
会合で、制度変更に反対する石渡明委員が「工学の専門家ではないので(妥当なのか)判断がつかない」と意見したが、他に大きな異論は出ずに方針案が決まった。【東京新聞】