テロ対策の不備で運転禁止となっている東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)について、原子力規制委員会の山中伸介委員長は3月8日の記者会見で「(運転禁止命令の解除は)かなり難しい」と述べた。規制委が2021年4月に運転禁止を命じて以降、改善しきれない状態が続く。東電や政府が目指す早期再稼働は絶望的となった。
再発防止策の検査では、不備があった侵入検知器を交換した後も正常に信号を送信できないなど、設備面での不具合が判明。現場と管理層の情報共有も不十分で、運用面の課題も残った。規制委は5月にも検査の最終報告書をまとめる予定だが、山中委員長はその時点での命令解除は難しいとの認識を示した。
新規制基準の審査では、3月3日の審査会合で、北陸電力志賀原発2号機(石川県)について「敷地内に活断層はない」とする北陸電の主張が認められた。志賀2号機は16年に規制委の専門家チームが「敷地内に活断層の可能性あり」と判断。その後、北陸電が新たな地質データを増やし、規制委が受け入れた。
地質データの書き換えで審査が一時中断していた日本原子力発電敦賀2号機(福井県)は、3月17日の審査会合で新たな資料の誤りがあることが分かり、審査の打ち切りを含め、今後の対応を規制委定例会で議論することになった。
福島第一原発事故を巡る住民訴訟では、昨年6月に国の賠償責任を否定した最高裁判決に沿い、3月にあった仙台高裁と福島、岡山両地裁の計4件の判決で、いずれも国の責任を認めなかった。【東京新聞】