大手電力の社員らが競合する新電力の顧客情報を不正に見ていた問題で、経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会(電取委)は31日、関西、九州両電力など計5社に対し、電気事業法に基づき業務改善命令を出すよう西村康稔経産相に勧告した。
勧告対象は、両社と「関西電力送配電」「九州電力送配電」「中国電力ネットワーク」。不正閲覧は昨年12月以降、関電を皮切りに大手電力10社中7社で発覚。関電は顧客を引き抜く目的で、不正に閲覧していた事実が判明している。
西村氏も記者会見などで不正閲覧を問題視しており、電取委の勧告を受け入れて業務改善命令を5社に出す方針。5社は、業務改善計画を同省に提出する必要などが生じる。
この問題で、電取委は31日、東北電力や四国電力など6社に業務改善勧告を、沖縄電力などに業務改善指導を出す方針をそれぞれ決めた。故意に閲覧できるようにしていた関電などと比べると、悪質性は低いと判断した。
大手電力への業務改善命令をめぐっては、2020年3月、関電の役員らが高浜原発のある福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていた問題で発出。経営管理体制の見直しなどを求めた。
このほか、電取委は中国電力に対し、別の違反でも業務改善勧告を出した。同社は燃料費が高騰していた昨年3月と10月に燃料節約のため、火力発電所の稼働率を下げたが、義務に反して公表していなかった。
【朝日新聞】