東京電力柏崎刈羽原発のテロ対策不備を受けて追加検査を進める原子力規制委員会のチームは6日、稲垣武之所長から聞き取り調査をした。侵入検知のセンサーや、ミスや不具合情報を集約する仕組みに課題が残ると指摘した。
この日の調査は3日の小早川智明社長に続くもので、規制委の事務局である原子力規制庁の古金谷(こがねや)敏之・追加検査チーム長らが、再発防止策の現状や課題に関する認識を尋ねた。今後の東電の取り組みや規制委側の評価によっては追加検査の終了に時間を要し、今春にも見込まれていた再稼働の準備を禁じる命令の解除が先送りになる可能性がある。
調査後、取材に応じた古金谷氏は、侵入検知センサーなどの防護設備と、不具合やミスの情報を社内で集約・共有する「CAPシステム」という仕組みに課題がある、との認識で東電側と一致したと語った。
センサーについては、風雪などの影響で侵入者がいなくても発報する「不要警報」対策が警備の負担を軽減するうえで重要とされている。CAPシステムについては、2018~20年にセンサーの故障が多発しながら迅速な修理に結びつかなかったとして、運用方法などに問題があったと指摘されていた。東電は改良型センサーに交換するなどハード・ソフト両面で対策を進めてきたが、課題が残っていると改めて指摘された形だ。
規制委の山中伸介委員長はこれまで今春にも追加検査を終え、核燃料の移動を禁じる是正措置命令の解除を検討する考えを示していたが、1日の記者会見では「検査の終盤に入ってきていると思うが、かなり厳しい状況だと判断している」と発言した。古金谷氏もこの日、追加検査に関して「今、確実に終えられるということはないと思うので、延びる可能性はあると思う」と語った。
規制委は8日に5人の委員による協議を公開で行う。委員の現地調査やこれまでの検査の状況を踏まえ、今後の検査の進め方を議論する予定だ。
【朝日新聞】