電力大手で相次ぐ新電力の顧客情報の不正閲覧問題を受け、経済産業省は罰則を強化するため、電気事業法の改正を検討する。判明した不正閲覧は電力大手7社で75万件超に上っており、関西電力では営業活動での利用も確認された。罰則強化で再発防止を図る。
電気事業法では、電力会社に法違反があった場合に経産相が是正を命令し、その命令にも違反した場合には300万円以下の罰金が科される。経産省は罰金額の引き上げや、是正命令を経ないで罰金を科す仕組みなどを検討する。
法令に不正となる事例を具体的に例示し、罰則の対象となる行為を明確にすることも視野に入れる。経産省の有識者会議で、再発防止に有効な罰則のあり方を議論したうえで、法改正案をまとめる見通しだ。
不正閲覧は東北、中部、関西、中国、四国、九州、沖縄電力の7社で確認された。2016年の電力小売り全面自由化に伴い、公平な競争を担保するため、小売り部門の社員が送配電の子会社や部門が持つ新電力の顧客情報を閲覧することは禁じられている。経産省の電力・ガス取引監視等委員会(電取委)は各社への調査を続けており、3月末にも事実認定を完了させる。経産省はその後、罰則強化の本格検討に入る。【読売新聞】