東京電力福島第一原発事故後に福島県内の除染で出た汚染土を県外で再利用する環境省の実証事業で、候補地とされる環境調査研修所(埼玉県所沢市)の地元町会が実施「反対」を決議したことを受け、西村明宏環境相は3日の閣議後会見で「しっかりと丁寧に説明していく」と述べた。事業には「地元の理解が欠かせない」と強調してきたが、中止には言及しなかった。
実証事業への反対を決議したのは、研修所西側の弥生町の町会(約800世帯)。環境省が昨年12月に説明会の対象とした地区の大半を占める。所沢市の藤本正人市長は本紙の取材に「地域住民の理解がなければ、私も『うん』とは言わない」と答え、事業の実施は厳しくなっている。
環境相に本紙は事業中止の可能性を質問した。「現段階において、しっかり地域の皆さまに丁寧に説明していくということで進めていきたい」と回答があり、関連する質問には「丁寧に説明する」と繰り返した。
実証事業は新宿御苑(東京都新宿区)と国立環境研究所(茨城県つくば市)でも計画され、首都圏3カ所はいずれも環境省管理の施設。新宿では地元住民が事業に反対する会を結成しており、近く同省に中止を申し入れる。【東京新聞】