新潟県柏崎市の桜井雅浩市長は5日の定例記者会見で、2022年末の大雪に伴う車の立ち往生を踏まえ、東京電力柏崎刈羽原発の事故など災害発生と重なった場合に北陸道と国道8号を同時閉鎖すれば「死活問題になる」と述べた。その上で国に「抜本的な方策」を求めていく考えを示した。
同市内では同年12月18日未明から、国道8号で車約800台が22キロにわたって立ち往生する事態が発生。解消までに約38時間を要した。
桜井市長はこの日の会見で、交通障害の全体像を把握できず、国道が見える市道の監視カメラ画像や消防のドローンで情報収集に努めたと振り返り、「私自身は冗談ではなく『原発事故が起こらないでくれよ』と祈るような感じだった」と当時の胸中を明かした。
同市は21年、国と県に対し、原発事故時に避難の実効性を高める考え方として、北陸道の米山インターチェンジ(IC)の米山大橋東側への移設▽小村峠トンネル化▽上方スマートIC設置▽曽地スマートIC設置――の4点を提示している。
これを踏まえ、桜井市長は「最悪のケースとして積雪時の夜間に原発事故が起きた場合、どうやって住民は避難するのか、今回のような事態が現実に起きたことを認識してもらいたい。避難路となる北陸道と国道8号の同時通行止めはあり得ず、いかなる場合でもどちらかを空けておかなければいけない」と強調。国に対し「市の考え方を参考に抜本的な方策を事業として進める明確な意思表示をし、できるところから優先順位をつけて速やかに着手してほしい」と注文した。【毎日新聞】