関西電力の送配電子会社が、親会社の関電とライバル関係にある新電力の顧客情報について、関電社員が見られる状態にしていたことが分かった。経済産業省は27日、両社に対し電気事業法に基づく報告を求める「報告徴収」を行った。法令に違反して入手した顧客情報を営業に活用していた疑いもあるとみて調べる。
大手電力会社から送配電の事業を切り離す「発送電分離」は、電力自由化で新たに参入した新電力との公平な競争環境を整えるために実施され、顧客情報を親会社と共有することを禁止された。
電力・ガス取引監視等委員会によると、関西電力送配電が管理するシステムにある契約者名義、電話番号、電気の使用量、契約先の新電力など7項目の顧客情報について、親会社の関電社員らがパソコン上で見られる状態になっていた。過去1週間の記録を確認したところ、1327件の顧客情報を関電の営業部門の担当者ら329人が閲覧していたという。
関電内部の指摘で今月9日に発覚したという。両社は来年1月13日までに調査内容を電取委に報告する。西村康稔経産相は「電気事業者間の公正な競争を揺るがしかねない事案であり、極めて遺憾だ」とのコメントを出した。【朝日新聞】