元裁判官の樋口英明さんが、担当した裁判の経験などをもとに原発が危険な理由を語る講演会「私が原発を止めた理由~本当はだれにでもわかる原発訴訟~」が24日、京都府福知山市大江町河守の大江町総合会館で開かれ、市内外の約90人が耳を傾けた。
大江町内で毎週金曜日、「原発いらん」スタンディング行動を続けている「〈原発なくそう〉大江ネットワーク」(岩松英昭代表)の主催。スタンディングが500回を迎えたのを記念して企画した。
樋口さんは福井地裁時代の2014年、裁判長として関電大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じる判決を言い渡した。翌年には関電高浜原発3、4号機の再稼働を禁じる仮処分決定を出した。17年に退官、昨年、著書「私が原発を止めた理由」を出版、各地で講演も続けている。
原発の本質について樋口さんは「原発は人が管理し続けないと事故になる」「人が管理しそこなった時は、国を滅ぼしかねないことになる」という2点を理解することだと説明。
原発容認派が主張する、「原発は岩盤の上に建っており、岩盤の揺れは地表の揺れよりもはるかに小さい」という主張には、岩盤上に建っていない原発があることや、岩盤上の揺れが周辺の地表の揺れよりも大きい場合があったと反論した。
今後の原発訴訟について「基準地震動の策定に問題があったか」を争点にするのではなく、「基準地震動が過去の地震の記録に照らして低水準ではないか」「最大の地震動が予知予測できるのか」「基準地震動以下の地震動でも危ないのではないか」を争点にするべきだと語った。【朝日新聞】