日本原子力発電が再稼働を目指す敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の審査資料を不適切に書き換えていた問題で、原子力規制委員会は26日の定例会合で「資料を作成するプロセスの改善が確認できた」として、1年以上中断していた再稼働に向けた審査を再開することを決めた。
書き換えは、敷地内の掘削調査試料を分析した「ボーリング柱状図」で行われた。無断の書き換えは計80カ所に上った。規制委は昨年8月、資料の信頼性が確保される必要があるとして審査を中断。原電本店に立ち入り検査するなどして業務の確認を進めてきた。
この結果、規制委は社内規定が整備されたことなどを踏まえ「継続的に(審査資料の)品質を確保する取り組みがなされている」と評価。書き換えの背景として資料作成の体制が不十分だった点を指摘し「審査官を錯誤させる目的で意図的に審査資料の書き換えを行ったことは確認できなかった」とした。
事象の重要度や深刻度については「重要論点のデータが正確に提供されず、審査に不必要な混乱や人的資源を多大に費やすことになった」と指摘。原発の安全性に関わる重要度は「なし」とする一方、違反の深刻度レベルは4段階のうち上から3番目の「SLⅢ」とした。
定例会合で石渡明委員は現行制度になって以降、3番目以上の深刻度レベルは少ないことから「非常に重い評価」と指摘。山中伸介委員長も「当初から重大な案件と認識し注視してきた。1次データの書き換えや直接的な不正はないという結果に納得した」と述べた。
審査では、敦賀2号機の原子炉建屋直下を通る断層が将来動く可能性のある「活断層」かどうかが最大の焦点。活断層なら廃炉を迫られる。規制委の有識者調査団は2015年、活断層とする報告書をまとめたが、原電は反論を続けてきた。
山中委員長は会合後の定例会見で、敦賀2号機の再稼働に向けた審査の進ちょくについて「本当にまだ入り口で、始まった段階だ」との認識を示した。
審査が着実に進むことを期待
渕上隆信敦賀市長の話 本日の原子力規制委員会において、敦賀発電所2号機の新規制基準適合性審査の審査資料作成に係る業務プロセスが構築されたとの原子力規制庁の評価結果について了承され、審査会合の再開が決定された。
日本原電においては、改善された業務プロセスのもとで作成した確実な審査資料を提出し、今後の審査に真摯に対応することで原子力規制委員会との信頼関係を構築していただき、審査が着実に進むことを期待する。【福井新聞】