国際原子力機関(IAEA)は17日、ロシアが占拠するウクライナ南部のザポロジエ原子力発電所で、損傷した主要な送電線の一部が復旧し、国内の電力網から直接電力を受け取れるようになったと発表した。IAEAは声明で、同原発の状況は9月初めよりは改善されたものの「なお不安定」だと指摘した。
ザポロジエ原発では8月に砲撃が相次ぎ、ウクライナが9月11日に運転を停止したと発表した。予備の送電線を使って原子炉の冷却作業を実施していたが、原子力災害への懸念が強まり、外部電源の確保が課題となっていた。
IAEAによると、損傷した4本の主要な送電線のうち1本を修復した。ウクライナ国内の電力網と接続して電力を直接受け取れるようになるのは2週間ぶりという。6基ある原子炉はいずれも停止したままで、9月5日以降、同原発からの一般家庭や工場への電力は供給されていない。
IAEAは原発周辺の安全を確保するための保護区域の設定が急務だとして、ロシアやウクライナと協議している。【日本経済新聞】