東京電力が福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)の汚染水を浄化処理した後の水を海洋放出する計画を巡り、福島県民らでつくる「これ以上海を汚すな!市民会議」は13日、海洋放出に向けた設備工事をしないよう東電に要請した。
市民会議共同代表の織田千代さん(67)=福島県いわき市=らが東京・内幸町の東電本社近くのビルで、東電原子力・立地本部の井口誠一原子力センター所長に要請書を手渡した。
織田さんは「海底工事などの準備を進め、廃炉を優先して復興を犠牲にする姿に多くの福島県民が不信感を抱いている」とし、海洋放出は「被災者にさらなる負担と苦悩を強いるもので到底認められない」と指摘。東電が2015年、福島県漁連に「関係者の理解なしに(処理水を)海洋放出はしない」と約束したことに触れ、「約束を守らずに強行すれば、将来に大きな禍根を残す」と批判した。
市民会議は東電本社前で抗議したほか、原子力規制委員会にも放出設備を認可しないよう要請した。
海底トンネルなど放出設備の着工には、規制委の認可後に立地自治体の福島県と大熊、双葉両町の事前了解が必要。しかし、東電は地盤の掘削などは事前了解の対象外として一部工事を進め、トンネルを掘る機械「シールドマシン」を発進場所に設置し、いつでも着工できる態勢にした。【東京新聞】