東京電力福島第一原子力発電所でたまり続けるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水を基準以下に薄めて海に放出する政府の方針決定から、13日で1年です。
東京電力は来年春ごろをめどに放出を始める計画ですが、風評被害を懸念する漁業者などからは反対の声が根強く、どう理解を得ていくかが課題となっています。
たまり続ける処理水の保管で、福島第一原発の敷地がひっ迫するなか、政府は1年前の13日、国の基準以下に薄めたうえで海に放出する方針を決定しました。
東京電力は沖合1キロまで海底トンネルを通して、来年春ごろをめどに放出を始める計画で、ことし6月ごろから本格的な工事に着手したい考えです。
東京電力は、着工に向けて、福島県と、原発が立地する大熊町と双葉町に事前了解を求めていて、地元の判断が焦点となります。
また、政府と東京電力は、福島県漁連に対し「関係者の理解なしにいかなる処分もしない」と約束していますが、県漁連は風評被害を懸念し放出に強く反対しています。
さらに、NHKがことし2月に福島県内の沿岸自治体や原発事故で避難指示が出た地域に住んでいる人を対象に行ったウェブアンケートで処理水について尋ねたところ、「海洋放出すべき」が32.3%、「海洋放出すべきでない」が28.3%、「わからない」が37.1%と、回答が分かれました。
放出開始のめどがおよそ1年後に迫るなか、政府と東京電力がどう理解を得ていくかが課題となっています。
先月の地震の影響で車両が脱線するなどの被害を受け福島と仙台の間で運転できなくなっていた東北新幹線は、復旧作業が進んだことから14日、およそ1か月ぶりに全線で運転を再開しました。
東北新幹線は、先月16日に震度6強の揺れを観測した地震の影響で福島と宮城の白石蔵王の間で車両が脱線したほか、広い範囲でレールや架線、高架橋などの損傷が確認され、一時、福島県全域を含む栃木の那須塩原と盛岡の間で運転できなくなりました。
その後、段階的に再開し、福島と仙台の間だけ不通が続いていましたが、復旧作業が進んだことから14日、およそ1か月ぶりに全線で運転を再開しました。
JR東日本によりますと、当面は列車の本数を通常の8割から9割程度とするほか、郡山と岩手の一ノ関の間で徐行運転を行うため、福島と仙台の間の時間は通常よりもおよそ20分、長くかかるということです。
通常ダイヤに戻るのは大型連休明けになる見込みだということです。
【NHK】