東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を巡り、東電は12日、1キロ沖合へ放出するための海底トンネルや送水管など設備の本体工事に、約350億円かかるとの見通しを明らかにした。今後3年間では、海水に含まれる放射性物質の濃度の測定費は計25億円を見積もっており、海洋放出の関連費用は計約400億円に上る。
東電は、福島第1原発の廃炉作業や汚染水対策に使うため「廃炉等積立金」を積み立てている。経済産業省はこの日、こうした費用を盛り込んだ廃炉等積立金に関する2021年度の計画について承認した。
計画の中で、東電は予備費を含めた廃炉などの費用として、22年度が2376億円、23年度が2789億円、24年度が2251億円を計上した。汚染水対策や溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出し、使用済み核燃料プールに残る核燃料の取り出しなどにかかる費用だという。
東電の海洋放出の実施計画について、原子力規制委員会の審査は大詰めを迎えている。認可されれば、東電は6月にも本格的な工事を始め、23年4月中旬にも完成させたい考えだ。ただ、地元の漁業関係者らは反発している。【毎日新聞】