小泉純一郎氏ら5人の総理大臣経験者が福島第一原発の事故によって「多くの子どもたちが甲状腺がんに苦しんでいる」とした声明をEUに送付したことに対し、抗議する書簡を送っていた山口環境大臣は、福島の子どもたちの甲状腺がんについては「原発の影響とは断じられない」としたうえで、引き続き調査する考えを明らかにしました。
小泉元総理ら5人は、EUでの原発活用の動きを受けて福島第一原発の事故の影響の大きさを訴える声明をEU側に送付していました。この声明の中で、「多くの子供たちが甲状腺がんに苦しみ」などと書かれていた部分を巡って、山口大臣は「福島県内の子どもへの放射線の健康影響について誤った情報を広めている」として、今月1日に5人に対し抗議する書簡を送ったことを明らかにしていました。
抗議のあと初めてとなったきょうの会見で、山口大臣は福島県の子どもの甲状腺がんについての認識を問われ、「専門家が科学的な知見に基づいていろんな評価をしている。結論的に福島の原発が原因という風には断じられないという状況がずっと続いている」と述べました。その上で「甲状腺がんは普通なかなか調べないが、(福島で)266人見つかったということでもあるので引き続き調査する」との考えを示しました。
福島第一原発の事故をめぐっては、事故による放射能の影響で小児性甲状腺がんを発症したとして、当時6歳から16歳で福島県に住んでいた男女6人が東京電力に対し損害賠償を求める裁判を先月、起こしています。
弁護団によりますと、小児甲状腺がんは年間の患者数が100万人に2人という極めて稀な病気ですが、福島県が事故当時概ね18歳以下だった約38万人を対象に甲状腺の検査をしたところ、がんやその疑いが266人に見つかり、222人が手術を受けています。【TBS】