東京電力は25日、福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)の1~4号機周囲の地中に地下水流入を防ぐために造った凍土遮水壁の一部が解けている可能性があるとして、鋼管を複数本打ち込んで壁にして止水を試みると発表した。早ければ12月初旬から始め、地中の温度上昇が続く場合、追加で鋼板を打ち込む。
東電によると、8月下旬に4号機南西側と排水用地下トンネルの交差地点で、地中に設置した温度計で温度が零度を超えたことを確認。9月下旬以降は10度以上になることもある。広報担当者は記者会見で「壁の外側の地下水水位が高く、水圧で水の道ができたかもしれない」と説明した。
鋼管は直径35センチ、長さ最大6メートル程度。解けた可能性がある凍土壁の外側の地中に9本を打ち込み、幅3~4メートルの壁にする。
2017年から運用されている凍土壁は、事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)が残る原子炉建屋への地下水流入を防ぎ、汚染水の発生量を抑えるために造られた。全長約1・5キロ。地中に打ち込まれた約1600本の凍結管(長さ30メートル)に零下30度の冷却液を循環させて、周囲の土を凍らせている。【東京新聞】