福井県の高浜原発から半径30キロ圏内に入る京都府福知山市などで29日、原子力災害を想定した防災訓練があった。市職員10人を含む府内の行政職員ら約280人が、新型コロナウイルスの感染症対策を講じながら、スクリーニング(避難退域時検査)などの進め方を確かめた。
府が2013年度から本格的に実施している訓練。UPZ(緊急時防護措置準備区域)内の府内5市2町や陸上自衛隊など約20機関が参加した。福知山市内では大江町有路下地区がUPZの対象となっている。
例年は地元住民も参加するが、今年は新型コロナの影響で行政職員ら関係者のみで実施した。
訓練は、マグニチュード7クラスの地震で、関西電力高浜発電所と大飯発電所の両3号機で、原子炉冷却材が漏れる事故が発生し、設備故障で放射性物質が放出された-との想定。
5市2町の避難者は検温などをして、感染症の疑いのある人とない人に分かれ、舞鶴市と京丹波町からバスに乗り込み、スクリーニング場所の三段池公園=福知山市猪崎=に避難した。
新型コロナの感染防止対策にも配慮しながら、放射性物質が車両や体に付着していないかを専用の装置で検査した。このほか、関係機関との情報伝達なども確認した。
また福知山市は事故発生後に原子力災害対策本部を設置。市危機管理室の森下邦治室長は、「府庁とのやりとりや避難所の受け入れなどを確認できた」と話していた。【両丹日日新聞】