愛媛県の中村時広知事は19日、停止中の四国電力伊方原子力発電所3号機(愛媛県伊方町)の再稼働に同意すると長井啓介社長に伝えた。伊方原発では重大事故に備える待機要員が無断外出していた問題が明らかになり、同社は再発防止策をまとめたうえで地元自治体の判断を待っていた。早ければ年内に再稼働させる。
長井社長は安全性の向上などの条件付きで再稼働の同意を得たことを受け、報道陣に「要請事項を厳粛に受け止め、安全性向上にしっかり取り組む」と話した。冬にかけて電力需給が逼迫する懸念もあり、四国電力は約2年ぶりとなる伊方3号機の再稼働に向けて調整を急ぐ。22日に再稼働の日程を示す。
伊方3号機は2019年末に定期検査に入った。四国電力は21年10月の再稼働を計画していたが、宿直中の社員の無断外出で要員数を満たさない違反などがあって延期となっていた。同社は「再稼働は県や伊方町の理解が前提」とし、再発防止策を示して信頼回復を目指していた。