東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出について、来日中の国際原子力機関(IAEA)のリディ・エブラール事務次長は9日、放出方法の安全性などを検証する調査団を12月にも日本に派遣する方針を明らかにした。
エブラール氏は検証に向けた事前協議のため、6日に来日。日本の関係省庁と調査団のスケジュールを調整したり、福島第一原発を視察したりしていた。
オンライン会見したエブラール氏によると、調査団にはIAEAの専門家と11カ国の外部専門家が参加。2023年春に予定される海洋放出に向けた放出前、放出中、放出終了後の3段階の検証を計画している。
検証では、保管している汚染水の成分や、東電が海底トンネルで沖合1キロの海に流すと公表した放出方法、住民や環境への影響の3項目を主に評価し、報告書にまとめるという。
福島県沖の海洋モニタリングについても、日本が採取した試料をIAEAだけでなく、外国の機関にも分析してもらうことで信頼性を高めていくという。
エブラール氏は「大量の処理水を長期間放出する上、地域の関心が高いという計画の特徴を考慮して調査団を構成したい」と語った。
政府は今年4月に処理水の海洋放出を決めた際、安全性について客観的に検証し、国際社会に発信してもらう狙いで、IAEAに協力を求める考えを示していた。【朝日新聞】