京都府舞鶴市は、関西電力高浜原子力発電所(福井県高浜町)から5キロ圏内の同市松尾、杉山地区で原発事故時の避難路となる市道を拡幅する方針を発表した。運転開始から40年を超える原発再稼働が進む中で、本年度から新たに制度化された内閣府の交付金事業を活用する方針という。
山間部の松尾、杉山地区は27世帯48人が暮らし、放射性物質の放出前から避難する予防的防護措置準備区域(PAZ)にあたる。西国三十三所の一つとして名高い松尾寺周辺の市道松尾杉山登尾線の道幅が狭く、大型車の通行が難しい状態が続いていた。
拡幅は松尾地区の約130メートルで道幅2・7メートルから4メートル以上に広げる。総事業費は1億円。うち、調査・設計費用2千万円を9月市議会に提案する一般会計補正予算案に盛り込んだ。
高浜原発1、2号機は運転開始から40年を超え、舞鶴市は再稼働の議論の中で国に対して、防災安全対策などで立地自治体並みの扱いを求めてきた。内閣府は本年度から原子力安全対策交付金の中に緊急時避難円滑化事業を制度化した。
多々見良三市長は「避難についてより安全にしなければならない中で新しいメニューができた。立地自治体にはあった対策が周辺自治体にも広がった」と説明した。【京都新聞】