福島第一原子力発電所で増え続けているトリチウムなどの放射性物質を含む処理水の、海への放出について、東京電力は希釈したあとのトリチウムの濃度が国の基準を下回ったかどうかは、混ぜ合わせた海水の量をもとに評価する考えを示しました。有識者からは「放出時の実際の測定結果も定期的に公表してほしい」などの意見が出されました。
東京電力は12日、原子力規制委員会の会合で、処理水を海水で薄めたあとのトリチウム濃度の評価方法を示し、性質上、測定に時間がかかるため、希釈前の濃度と混ぜ合わせる海水の量を計算し、国の基準を下回ったかどうか評価する考えを示しました。
そのうえで、処理水の放出量は1日当たり最大で500立方メートルとし、海水をくみ上げる大型のポンプを3台確保して、直径2メートルほどある1本の配管に流し込んで混ぜ合わせるとしています。
東京電力によりますと、使うポンプが1台の場合、計算上、340倍以上に希釈されるということです。
有識者などからは「放出時の実際の測定結果も定期的に公表してほしい」とか「害のない化学物質で希釈されているか試験すべきだ」といった意見が出されました。
政府は2年後をめどに海水で薄めて海に放出する方針で、東京電力は12日の意見などを踏まえ、具体的な設備を検討し、原子力規制委員会に申請することにしています。【NHK】