東京電力ホールディングスが新潟県の柏崎刈羽原発について、2021年度中の稼働を断念し、22年度以降の再稼働を目指すことが27日分かった。相次ぐ不祥事対応に時間がかかるためで、目標を盛り込んだ新たな経営再建計画を7月にも公表する方向で経済産業省と調整している。
経営再建計画は2~3年ごとに改定し、当初は20年度中の公表を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大や不祥事の影響で遅れていた。東電は7号機の早期再稼働を目指しており、17年に改定した計画では早ければ19年度、遅くても21年度までに再稼働させる見通しを示していた。
東電にとって柏崎刈羽の再稼働は収益改善に寄与する経営再建の柱。福島第1原発事故の廃炉と賠償費用を確保した上で、将来的には年4500億円の利益を稼ぎ出す計画だったが、再稼働実現のめどは立たず、さらに遠のいた。
柏崎刈羽では7号機の安全対策工事の完了を今年1月に発表した後、次々と工事が未完了だったことが判明した。3月には核物質防護の不備が明らかになり、原子力規制委員会が東電に事実上の運転禁止を命じた。東電は外部の有識者による検証委員会を設置し、原因究明と体制の改善を急ぐ。【新潟日報】