原子力規制委員会の 更田豊志委員長は16日の記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所の「処理水」について、政府方針に従って薄めれば、海洋放出の直前に放射性物質の濃度を測定する必要はないとする見解を示した。
処理水は、トリチウムを除く大半の放射性物質を特殊な装置で除去している。政府は処理水を海水で100倍以上に薄めた上で、2023年以降に海洋放出する方針を示している。
放出前の処理水のトリチウム濃度は、国が定める排出基準の40分の1程度に抑えるとしているが、濃度を厳密に測るには、薄めた処理水を再濃縮する必要がある。更田委員長は、希釈前の濃度を正確に測ってから希釈すれば、基準を満たしている証拠となり、「科学的には、希釈後の測定は不要だ」と語った。
また中国広東省の原発で起きたとされる放射性物質の排出について、更田委員長は日本国内で監視している放射線量に変化はないとして、現状では「日本に影響が及ぶ可能性は極めて小さいと思う」と述べた。原子力規制庁によると、中国の規制当局から16日、「原発周辺の放射線レベルに異常はない」とする趣旨の連絡があったという。【読売新聞】