自民党の総合エネルギー戦略調査会が、将来原子力発電所のリプレース(建て替え)や新増設を可能とするのに必要な対策を政府に求める提言案をまとめたことが24日、分かった。2030(令和12)年度の原発比率は現行目標(20~22%)の維持・強化を盛り込んだ。今夏に改定される中長期的なエネルギー政策の指針「エネルギー基本計画」への反映を目指す。
平成23年の東京電力福島第1原発事故後、原発の停止期間が長期化していることを踏まえ、原則40年の原発運転期間制度の在り方も含め、長期運転の方策についての検討を訴えた。
次世代型原発の「革新炉」をはじめ、太陽光など再生可能エネルギーや次世代エネルギーの水素、火力発電の二酸化炭素(CO2)の回収・有効利用・貯留(CCUS)などの技術開発について、国産化の推進や国際連携に取り組むべきだとした。
再エネは主力電源として最大限導入するため、電力系統の整備やコスト低減、適地の確保に務め、2030年度の電源構成では意欲的な目標を設定する。水素に関しては、エネルギー安全保障の観点から戦略的にインフラ整備や技術開発に努め、実用化につなげる。
また、電気自動車(EV)や蓄電池の製造に不可欠なレアアース(希土類)など希少金属の調達をめぐり、特定の国への依存を解消するよう唱えた。
提言は25日の調査会の会合で議論する。
一方、温室効果ガス排出量の実質ゼロ目標実現に向けた自民党の「2050年カーボンニュートラル実現推進本部」(本部長・二階俊博幹事長)は24日、党本部で会合を開き、原発の早期再稼働や新増設を求める緊急決議をまとめた。再生可能エネルギーの導入を促進するとともに、原子力政策の位置付けを明確にすることも要望した。【産経新聞】