東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に必要とされる「事前了解」の対象自治体について、原発から半径30キロ圏の住民の約8割が拡大を求めたアンケート結果について、新潟県の花角英世知事は12日の定例記者会見で「県がコメントすることは特にない」と述べ、改めて拡大に否定的な考えを示した。
このアンケートは、事前了解の対象自治体を現在の県、柏崎市、刈羽村の3者から、その他の30キロ圏内7市町まで拡大することを目指す自治体議員研究会が行い、10日に公表された。長岡市、上越市、柏崎市など原発から半径5~30キロ圏の避難準備区域(UPZ)にある8市町の住民の大半が対象の拡大を求めていることが、統計的手法で明らかになった。
花角氏は会見で「今の仕組みでは広域自治体である県が判断していけばいいと思う」と改めて説明した。原発再稼働の是非に関しては「広域自治体として立地自治体以外の自治体の意向をしっかりと確認しながら判断したい」と従来の考えを述べるにとどめた。
◎柏崎市長「重い数字だ」
新潟県柏崎市の桜井雅浩市長は12日の定例記者会見で、住民アンケートで再稼働の事前了解を立地自治体以外に拡大することが必要との回答が約8割に上ったことに対して「重い数字だ」と語った。
ただ、東電福島第1原発事故を受け、茨城県で事前了解の範囲を拡大した安全協定が結ばれたことや、柏崎刈羽原発の再稼働問題が注目される状況を挙げ、「偶然の出来事が重なり、にわかに問題意識が出てきた中でのアンケート結果だと考えている」との見方も示した。
事前了解の対象拡大には否定的な考えを改めて示した上で「いろいろな方々に長い時間をかけて原発、再生可能エネルギー、日本のエネルギー事情を含めて、ご理解いただいた上で判断してもらえればありがたい」と語った。【新潟日報】