中部電力浜岡原発(御前崎市)が停止して14日で10年になる。朝日新聞は知事と静岡県内35市町の首長に再稼働に関するアンケートを実施した。今年で4回目だが、再稼働賛成の首長は3年連続でゼロだった。31キロ圏では反対や慎重意見が大半で、地元の意向を尊重する市町も多いことから、現状では再稼働で地元了解を得るのは困難な情勢だ。
4月に郵送し、全首長から回答があった。昨年4月から6市長が交代している。
浜岡原発が原子力規制委員会の安全審査を通過した場合、再稼働の賛否と理由について聞いたところ、賛成はなかった。反対と答えたのは4市2町(昨年=以下同じ=5市3町)。1回目のアンケートで小山町が賛成と答えたが、町長が交代してから賛成はなくなった。
賛否を明言しない首長は
賛否を明言せず「その他」と答えた首長について、その理由で分類すると、慎重な自治体は県と8市3町(県と7市2町)、地元意向重視は6市2町(4市3町)で、残り10市町は明確に答えなかった。
31キロ圏の11市町は、UPZ(緊急時防護措置準備区域)に指定され避難計画を策定中だが、昨年から4市長が交代し動向が注目された。磐田市は引き続き反対、袋井市は反対だったが、今回は「その他」の慎重意見になった。掛川市、菊川市は引き続き慎重だった。
「国による福島第一原発事故の検証ができていない」(磐田市)、「市民の安全・安心の担保が最優先」(袋井市)、「国と中電が市民に説明し理解が必要」(掛川市)、「安全審査は再稼働前提ではない」(菊川市)などと注意深く見守っている様子がうかがえた。「現段階で議論すべきではない」とする御前崎市を除く10市町は反対か慎重だ。
県は「津波対策などを実施中で、使用済み燃料の処理方法の未確立など課題があり、再稼働を考えうる状況にない」としている。地元意向を重視する自治体も含めると、7割が再稼働には消極的だ。
再稼働には知事らの地元了解が必要だが、知事以外で当事者になる範囲は決まっていない。御前崎市と答えたのは昨年と同じ2市1町だったが、31キロ圏は7市5町(6市4町)と増えている。県も「31キロ圏の意見は重要」とし、御前崎市長も4月の会見で31キロ圏の意見を重視する意向を示しており、31キロ圏自治体の重要性が増している。
県民投票への賛否は、賛成2(3)、反対10(9)で、消極派が多数だった。【朝日新聞】