東京電力福島第一原発でこの春、鋼鉄製の保管用コンテナから漏れ出したとみられる放射能に汚染されたゲル状の塊が見つかった。東電によると、敷地内の屋外には、主に低レベルの放射性廃棄物を入れたコンテナ約8万5千基が並ぶ。雨水などで劣化が進むと、廃炉作業の支障になりかねず、対応に困っている。
3月上旬に雨が降った後、福島第一原発の構内の排水路で、放射性物質濃度が高まったことを知らせる警報が鳴った。
調べたところ、特定の区画から出る排水の放射性物質濃度が高く、近くの地面に黒っぽいドロドロしたゲル状の塊(縦90センチ、横30センチ)が見つかった。塊は放射線を出しており、触れた雨水が流れ出て警報が鳴った可能性が強まった。
現場では、コンテナ270基を別の場所に移す作業が行われていた。そのうちの1基の底部がさびて、穴が開いたとみられる。コンテナには、約450の収納袋に小分けされた吸水シートやホース、布などが大量に入っていた。事故後の混乱期に汚染水などを拭き取った後、中に詰め込んだままになっていたらしい。
東電によると、事故処理で発生したがれきや使用済みの防護服などの廃棄物は、放射線量が高いものは屋内の保管庫に入れ、低いものは、シートをかけたり、コンテナに入れたりして屋外で保管している。
そうしたコンテナは現在、8万5469基ある。そのうち、2017年11月以前に詰めた4011基は、中身の詳細な記録が残っていない。放射線量が高いものが入っていないことは確認したが、「不燃物のがれき類」ということしかわからない、という。【朝日新聞】