原子力規制委員会は28日、東京電力福島第2原子力発電所(福島県富岡町、楢葉町)の具体的な廃炉工程を盛り込んだ「廃止措置計画」を認可した。東京電力ホールディングスは今後、福島県など地元の了解を得て、解体工事の準備に入る。計画では全体の作業期間を44年と見込んでいる。
東電は2019年7月に福島第2原発の全4基の廃炉を決め、20年5月に廃止措置計画を規制委に提出していた。今後、福島県や富岡町、楢葉町から計画実施の了解を得たい考えだ。
提出時の計画によると、施設の解体には約2800億円かかると見積もっていた。作業は4段階に分けて進め、第1段階では10年かけて汚染状況の調査や放射線管理区域外の設備の解体などをする。使用済み核燃料は原子炉建屋内のプールで貯蔵しており、原子炉本体の解体前に取り出す予定だ。東電は約半数を敷地内に新設する貯蔵施設で保管する方針を示している。
福島第2原発は11年の東日本大震災が起きた際に全4基が運転中で、自動停止した。福島第1原発のような炉心溶融は起こさなかったが、3号機以外は津波により冷却装置が浸水して破損した。現在は冷温停止しているが、地元からは廃炉への強い要望が出ていた。
廃炉に向けた手続きが進む福島第2原発
炉心の溶融事故を起こした福島第1原発では、政府が4月中旬に処理水の海洋放出を決定した。東電は50年ごろまでに、事故で溶けた燃料が固まったデブリの取り出しなどを含む廃炉作業の完了を目指している。
【日本経済新聞】