運転開始から40年を超える関西電力美浜原発3号機と高浜原発1、2号機の再稼働の地元同意を巡り、杉本達治福井県知事が来週にも梶山弘志経済産業相と面談することが4月23日、関係者への取材で分かった。24日には両原発を視察。後日、経産相から原子力政策の明確な方向性や国が前面に立つ覚悟を確認できれば、会見を開いて同意を表明するとみられる。
東京電力福島第1原発事故を受けた原子炉等規制法の改正により、原発の運転期間は原則40年となり、原子力規制委員会が認めれば1回に限り最長20年延長できる。美浜3号機と高浜1、2号機は2016年に運転延長が認可された。3基が再稼働すれば、新ルールの下では初となる。
県会は23日、臨時議会を開き、3基の40年超運転について「原子力との共生を目指す立地地域の思いを十分踏まえた的確な判断を強く求める」とする請願を賛成多数で採択。再稼働に事実上同意した。最大会派の県会自民党は、40年超運転を前提としたエネルギー基本計画の見直しを求める意見書案を発議し、賛成多数で可決した。
記者団の取材に応じた杉本知事は、2月定例県会の冒頭、議会に再稼働の是非に関する議論を要請して以降の流れを踏まえ、「議会の考え方、議論、経過、結果を重く受け止める」と強調。意見書や採択された請願については「40年超運転を前提とした議論であり、賛成討論でも立地地域の思いを訴えていた。40年超運転に前向きな考えを示したものと理解している」と述べた。
一方、根強い県民不安に関しては「請願や意見書の賛否では、不安の声を代弁する討論もあった。県民説明会でもそうだったが、多くの方が安心しきっていない状況」とした上で、原発の安全性を絶えず高めていく努力を国と電力事業者に促し、県民・国民に説明を尽くすよう求めていく考えを示した。
県内では7基の原発が廃止措置に入り、廃炉時代を迎えている中、県は原子力政策の方向性を国に確認する意向を示している。国がその前面に立つ覚悟を示すかも重視しており、梶山経産相から明確な回答を引き出したい考え。国との間で文言の調整が進んでいるとみられ、知事は「確認すべき内容は煮つまってきている」と述べた。
3基の再稼働について国は昨年10月、福井県と美浜、高浜両町に協力を要請した。戸嶋秀樹美浜町長と野瀬豊高浜町長は今年2月、相次いで同意を表明。県会自民党は21日、国の覚悟を確認した上でなら、知事の判断を容認する方針を全員協議会で示した。【福井新聞】