「県民が積み重ねてきた風評払拭の努力を後退させることのないよう国が前面に立ち、万全な対策を講じて欲しい」
福島第1原発の海洋放出を巡り、福島県の内堀知事は15日、梶山経産相にそう訴えた。未曽有の事故の苦汁をなめ続けてきた福島にとって、風評再燃は切実な問題。しかし、汚染水の処理を手掛ける東電と政府に地元の理解を得る努力は見られない。
そんな姿勢を象徴するのが、汚染水を浄化処理する多核種除去設備「ALPS」の運用実態だ。2013年に東電が導入後、現在まで8年間も「試験運転」のままなのだ。
14日の参院資源エネルギー調査会で、共産党の山添拓議員が問題を取り上げ、「(ALPSの)本格運転前の使用前検査すら終わっていない」と追及。原子力規制委員会の更田豊志委員長は「汚染水をいかに処理して貯留するかが非常に急がれた。使用前検査等の手続きは、飛ばしている部分があると思う」と明かした。【日刊ゲンダイ】