関西電力は26日、2021~25年度の5年間で原子力発電や再生可能エネルギーを含む脱炭素に関して1兆500億円を投資すると掲げた中期経営計画を発表した。政府が50年に実現を目指す二酸化炭素(CO2)排出量実質ゼロに向け重点的に取り組む。13年度比でCO2を半分とする目標の達成も30年度から25年度に前倒しする。
関電の森本孝社長は同日の記者会見で「消費者や事業者のゼロカーボンエネルギーへのニーズが高まっている。原子力と再生可能エネルギーを柱として脱炭素に取り組みたい」と話した。5年間で、発電所の安全対策工事や設備の改良など原子力発電に7150億円、国内外での水力発電や太陽光発電など再エネ関連で3400億円を投資する。
脱炭素に関しては2月に考え方や方向性をまとめた「ゼロカーボンビジョン2050」を発表し、水素の自社生産などに挑むと打ち出した。取り組みの推進に向け森本社長を委員長とする「ゼロカーボン委員会」を4月に設置する。
電力事業者間の競争が激化する中、電気やガスの提供にとどまらないサービス提供者への転換も目標として掲げ、5年間で1200億円を投資する。家庭顧客向けプラットフォームサービスの提供や地域の電動モビリティー関連サービスなどを想定する。既に家庭向けに暮らしに役立つ電子商取引(EC)モールの運営や電気自動車(EV)のリース事業を手掛けている。【日本経済新聞】