東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原子力発電所でテロ対策に不備があるとして原子力規制委員会は24日、東京電力に是正措置を命じる行政処分を行う方針を決めました。今後、規制委員会は原発の検査体制を強化していく考えです。
新潟県の柏崎刈羽原発では去年3月以降、侵入者を検知する設備が複数壊れその後の対策も十分機能していなかったことがわかったほか、中央制御室への社員の不正な入室も明らかになり、原子力規制委員会はテロ対策に大きな問題があるとして東京電力に核燃料の移動を禁止するなどの是正措置を命じる処分を行う方針を決めました。
今後、規制委員会は東京電力の再発防止策などを確認する必要があり検査体制を強化していく考えで、現地にある柏崎刈羽原子力規制事務所の渡邉健一所長は今後、東京の検査官とともに検査に積極的に関わっていく考えを示しました。
柏崎刈羽原発は処分が決定したあと課題が改善されたと判断されるまでは再稼働ができません。
原発の規制に詳しい政策研究大学院大学の根井寿規教授は「原発の運営管理全般にわたって穴が空いている可能性が否定できない」などと述べ、設備の復旧だけでなく原因の根本的な分析が必要だと指摘しています。
梶山経済産業相「深刻に受け止めている」
原子力規制委員会が東京電力に対し核燃料の移動を禁止するなどの是正措置を命じる行政処分を行う方針を決めたことについて、梶山経済産業大臣は、26日の会見で、「深刻に受け止めている」と述べ、東京電力に抜本的な対策を講じるよう求めました。
原子力規制委員会は新潟県にある柏崎刈羽原発のテロ対策に不備があるとして、核燃料の移動を禁止する是正措置を命じる行政処分を行う方針を決め、処分が決定したあと改善されたと判断されるまでは再稼働ができません。
これについて、梶山大臣は26日の閣議のあとの会見で「大変、深刻に受け止めている。このままでは柏崎刈羽原発は再稼働できる段階にはないと考えている」と述べました。
そのうえで、「なぜこのような事案が生じてしまったのか、会社としてどのような問題があるのか、いったん立ち止まり、徹底的に原因を究明すべきだ」と述べ、東京電力に抜本的な対策を講じるよう求めました。【NHK】