原子力規制委員会は17日の定例会合で、九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の敷地内で、使用済み核燃料を金属容器の中で冷やして保管する「乾式貯蔵施設」の設置計画を了承した。経済産業相への意見聴取などを経て正式に許可する。
玄海3、4号機が2018年に再稼働して使用済み燃料が増える中、九電が19年1月、貯蔵能力を増強するため、規制委に設置の審査を申請していた。
計画によると、施設は幅約50メートル、奥行き約60メートル、高さ約30メートルの鉄筋コンクリート構造。原発のプールで十分に冷やした使用済み燃料を、放射線を遮る金属容器(キャスク)に入れ、空気で冷やす。最大でキャスク40基に使用済み燃料約960体を貯蔵できる。
27年度をめどに運用を始める。費用は約290億円を見込んでいる。乾式貯蔵は東京電力福島第1原発(福島県)や日本原子力発電東海第2原発(茨城県)では既に行われている。
国の核燃料サイクル政策では、各原発で保管される使用済み燃料は青森県六ケ所村に日本原燃が建設中の再処理工場に搬出し、再利用する計画となっている。ただ、再処理工場は度重なるトラブルなどで完成時期の延期を繰り返しており、具体的な搬出時期のめどの立ちにくい状況が続いている。
玄海原発では、使用済み燃料の貯蔵を増やさず、再処理工場への搬出もしない場合、今後3年程度でプールの容量を超える見通しだった。九電は3号機のプール内で、燃料の間隔を狭めて収容能力を高める「リラッキング」工事も進めている。【西日本新聞】